不動産売却の流れ 2023/05/22
初めての不動産売却、成功の秘訣!流れや費用、仲介手数料、税金、不動産会社の選び方をチェック
不動産売却が初めての人にとって、「どうすれば良いのか」「まず何をするべきなのか」と悩んでしまうのは、当然のことです。
不動産売却を成功させるためには、売却までの流れやコツを知った上で、自身のやるべきことを明確にしましょう。
このコラムでは、不動産売却が初めての方に向けて、基本的な知識から成功のためのコツまで、幅広く解説しています。
そもそも不動産売却とは?
不動産売却とは、土地やマンション、一戸建てを売却することを言います。
もっとも一般的なのは、不動産会社と媒介契約を結び、買い手を見つけてもらう「仲介」でしょう。売主に専門知識がない場合でも、不動産会社のサポートで売却活動を進めていけるというメリットがあります。
この他の不動産売却の方法としては、「買取」や「個人売買」があります。
買取とは、不動産会社が買い手となり、直接取引する方法を言います。買取契約成立までの時間が、仲介よりもはるかに早い点がメリットと言えるでしょう。
個人売買は、不動産会社を通さず、すべて個人でやり取りすること。売却費用節約・自分の自由に動けるといったメリットはあるものの、初心者にとってはハードルが高い手法となります。
みんなが不動産を売却する理由は?
不動産売却を検討する上で、気になるのが売却する理由についてです。不動産売却にはネガティブなイメージも付き物ですが、実際にはそんなこともありません。
不動産を売却する際の主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- より良い住まいへの住み替えのため
- 相続で不必要な不動産を受け継いだため
- 相場が上がり、好条件で売却できそうだから
- 転勤や転職のため
- 金銭的な理由のため
昔は「不動産=一生の買い物」といったイメージがありましたが、時代は変わってきています。
「今の自分にとってより良い住まいに移るため」という前向きな理由で、不動産売却を検討する方も非常に増えてきているのです。
不動産売却の流れを分かりやすく解説
不動産売却を検討する上で、まず頭に入れておきたいのが実際の手続きの流れです。以下を参考にしてみてください。
- 売却に向けた計画を立てる
- 売りたい物件の査定をしてもらう
- 売却に向けて具体的な検討を行う
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 売買契約を結び、引渡しをする
- 確定申告をする
複雑だと思いがちな不動産売却ですが、こうして一覧にしてみると、意外とシンプル。一つ一つの手順を、確実にこなしていきましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1.売却に向けた計画を立てる
ぼんやりと不動産売却について検討し始めたら、事前準備をスタートしましょう。やるべきことは、主に以下のような作業です。
- 周辺の同条件の物件の売却相場をリサーチする
- どれぐらいまでに売却したいのか、スケジュールを検討する
- 売却時に必要となる書類を用意する
同条件の物件の相場は、以下のようなサイトでリサーチできます。
- レインズ・マーケット・インフォメーション
- 土地情報総合システム
- SUUMO
- 地元不動産会社の物件情報サイト など
「だいたいこの程度なんだ」と相場観を掴んでおけば、いざ不動産会社の査定を受けたときにも、冷静に対処しやすくなるでしょう。
また、査定を受ける際に必要となる書類も、この段階で準備しておくとスムーズに話を進めていけます。
- 不動産の物件概要書
- 登記事項証明書
- 固定資産税納税通知書
- 間取り図
- 敷地測量図
このほかにも、過去のリフォームについてわかる書類や、ホームインスペクションを受けた際の書類などがあれば、一緒に用意しておくのがおすすめです。
2.不動産会社の査定を受ける
不動産会社の査定は、できるだけ多くのところで受けましょう。一社だけでは、正確な情報を得られるとは限らないからです。
不動産売却の査定には、まず不動産一括査定サイトを使うのがおすすめ。1度の情報入力で、複数の不動産会社に査定依頼を完了できます。
地域の不動産会社に詳しくなくても、自分に合った不動産会社を見つけやすくなります。
一括査定を利用する際には、売却予定の不動産の情報や自身の氏名や住所、連絡先などの情報が求められます。
できるだけ正確な情報を入力することで、より精度の高い査定結果が得られるでしょう。
3.より具体的な検討をする
各不動産会社から査定結果を受け取ったら、より本格的に売却に向けた動きを確認していきましょう。具体的なポイントは、以下の通りです。
- 住宅ローンを完済した上で住み替えできるか?
- 本当に今、不動産を売却するべきか?
- 事前に思い描いていたスケジュールに無理はないか?
これらのポイントを再確認しておくことで、より本格的な売却活動をスムーズに進めていけるでしょう。また、「今は売却のタイミングではない」と思ったら、最小限の負担で手を引くことも可能です
また、査定結果をもとに、媒介契約を結ぶ不動産会社を決定するのも、このタイミングです。
4.不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社が決まったら、媒介契約を結びましょう。媒介契約には、以下の3つの種類が存在します。
契約の種類 | 特徴 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数社への依頼が可能で、自分で買い手を見つけることも可能。 レインズへの登録義務はなく、報告も任意。 |
専任媒介契約 | 依頼できるのは1社のみで、自分で買い手を見つけることも可能。 レインズへの登録義務があり、2週間に1回以上の報告義務がある。 契約期間は最長で3ヶ月。 |
専属専任媒介契約 | 依頼できるのは1社のみで、自分で買い手を見つけることも不可能。 レインズへの登録義務があり、1週間に1回以上の報告義務がある。 契約期間は最長で3ヶ月。 |
レインズとは、不動産流通機構が運営する、不動産会社間のネットワークシステム。ここに物件情報が登録されると、不動産会社同士で情報を共有できる仕組みです。
自身が売却したい不動産情報がレインズに登録されなければ、その分だけ、売却できる可能性が低くなってしまうでしょう。
3つの契約スタイルのうち、レインズへの登録義務がないのは一般媒介契約のみですが、一般媒介契約を結んだ場合でも、売主から依頼すれば、登録は可能です。
5.売却活動を行う
売却活動は、不動産会社が行ってくれます。売主は内覧時の対応をすることになります。
内覧とは、購入を検討している人が実際に不動産を見に来ること。内覧の結果に応じて、売買契約を結ぶかどうかが決まると言っても過言ではありません。
できるだけ良い条件で売却するためにも、しっかりと対応しましょう。
6.売買契約から引き渡しまで
買主が決まったら、売買契約を結んで引き渡しをします。
- 住宅ローンの完済
- 抵当権抹消登記手続き
- 引越し
これらの作業が必要となります。
7.取引終了後は忘れずに確定申告をする
不動産売却は、引き渡して終わりではありません。売却時に利益が出た場合、翌年に確定申告をして税金を納める必要があります。
売却後の流れとして…
- 譲渡所得を計算する
- 控除や特例がないかチェックする
- 申告書を作成し税務署へ提出する
- 税金を納める
譲渡所得とは、売却時に出た利益のことです。売却して利益がなかった、またはマイナスの場合は税金が発生しません。
土地や家、不動産はどれぐらいで売れるの?
不動産売却の一連の流れにかかる時間は、それぞれのケースで違っています。
スムーズに買主が見つかった場合、3ヶ月程度ですべての手続きが完了します。一方で、なかなか買い手が見つからない場合、1年以上そのままということもあり得るでしょう。
多くの場合、3ヶ月から半年ほどで、不動産売却活動を完了する方が多いようです。
ニーズに合った処理方法を検討しよう!
不動産売却は、不要になった不動産を処分するための方法の一つ。とはいえ、状況によっては、売却以外の選択肢を選ぶのもおすすめです。
たとえば、「転勤により数年間自宅を空ける」場合には、不動産売却ではなく不動産賃貸を検討するのも良いでしょう。時期が来たら、また自宅に戻ってこれます。
また、同じ不動産売却でも、不動産会社による買取を選択すれば、状況は変わります。
仲介よりも価格は安くなりますが、買い手を探すのに苦労することはありません。仲介よりも、素早く不動産を手放せるでしょう。
自身のニーズを深掘りして、より良い方法を探ってみてください。
3,000万円で買った家の売却相場は?
ここでは、不動産売却の相場について紹介します。3,000万円で購入した家の売却相場は、どのようになっているのでしょうか。
中古一戸建ての売却相場は、築年数と深く関係しています。
もちろん、実際の売却価格は、建物の状況や魅力度、周辺環境や土地相場にも深く影響されるもの。実際の相場感覚は、一括査定を受けて掴むのがおすすめです。
不動産売却の費用について
不動産を売却するには、不動産会社に仲介してもらって話を進めていくことから、税金以外にも様々な費用がかかってきます。
どのような費用がどのくらいかかるのか、それを頭に入れておかないと、売却した後に手元に残るお金に大きな差が出てしまうこともあるのです。
頼れる、親身になってくれる担当さんと出会うことができれば、費用面について相談もしやすいですし、丁寧に色々と教えてくれるはずです。
また、少しでも不動産売却時にかかる費用を抑えるためのコツについてもご紹介しますので、損をしない不動産売却ができるようにしてください。
不動産売却における費用一覧
最初に、不動産を売却するとどのような費用がかかるのか、一覧で見ておいてください。
【費用の種類】
- 譲渡所得税
- 印紙税(売買契約書に課税)
- 消費税
- 不動産会社の仲介手数料
- 住宅ローンの繰上げ返済手数料
- 土地境界確定測量費用
- 登記に関する費用(抵当権抹消の手続き費用や司法書士への報酬)
- その他、測量、解体、廃棄物処分などにかかる費用
- 引っ越し代
一つ一つについては、次章から詳しく説明をします。
不動産を売却したときにかかる税金の種類
不動産を売って利益が出ると、その所得に対して税金がかかります。また、売却の際の諸手続きに関してもかかってくる税金があります。
それぞれどのような税金で、いくらくらいかかるのでしょうか。
譲渡所得税
不動産を売却して利益が出ると、その利益に対して所得税と住民税がかかります。これを「譲渡所得税」といいます。税金の計算式は、
譲渡所得税={売却価格ー(取得費+諸経費)}×所得税率
となっています。つまり、売ったお金がそのまま利益ではなく、諸経費などを抜いて手元に残ったお金に税率がかけられます。諸経費には、
- 仲介手数料
- 登記費用
- 印紙税
- リフォーム代
などが含まれます。
そして、譲渡所得税には2種類あります。
- 短期譲渡所得(5年以下)
- 長期譲渡所得(5年を超える)
これは、不動産を所有していた期間で分けられています。その期間によって税率が変わってきますので、重要な部分です。
不動産を取得した時よりも土地が値下がりしていてプラスになる分が出ない(売って損をしている状態)のであれば、譲渡所得税はかかりませんし、申告の必要もありません。
しかし、土地を相続した場合など、取得時の価格がわからないことがあります。そうすると、売ったお金に高額な税率がかかってしまうため、長期で保有していた不動産の税率は低めに設定されているのです。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
短期 | 30.63%(復興所得税0.63%を含む) | 9% |
長期 | 15.315%(復興所得税0.315%を含む) | 5% |
短期の場合は、売却益のおよそ4割が税金として徴収されることになります。
譲渡所得税の特例
ただし、譲渡所得税には特例が3つあります。
- 特別控除(3,000万円)
- 10年を超えるマイホーム
- 特定のマイホームの買換え特例
マイホームの定義は、以下のいずれかに該当する場合です。
- 現在、自宅として住んでいる
- 居住はしていないが、住まなくなった日から3年以内の売却である
- 譲渡をした年の1月1日時点で、所有している期間が5年を超えている
- 建物を解体する場合は住まなくなった日から3年以内で、解体から1年以内に土地の売却契約を結ぶ
- 売却をした年の12月31日時点で、新たに組んだ住宅ローンが10年以上残っている
- 単身赴任の配偶者の住んでいた建物である
- 売り主と飼い主の関係が、夫婦や親子などの関係ではない
この条件に当てはあるものについては、特別控除として3,000万円が適用されます。
例えば
- 譲渡価格:4,000万円
- 取得費:2,000万円
- 諸経費:200万円
売却益は1,800万円となりますが、控除が3,000万円ありますので、利益はゼロとなり、税金はかからないことになります。
また、所有期間が10年を超えるマイホームについては、6千万円までの軽減措置があります。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
6,000万円まで | 10% | 4% |
6,000万円を超える | 15% | 5% |
仮に高額で売れて売却益が出たとしても、税率はかなり低くなります。
買換えの特例は、今住んでいるところを売って新居を購入した場合には、所得税が繰り延べとなることがあります。
もしこの家を4000万円で売ることになった場合、差額に1000万円だけでなく、過去に繰り延べている1000万円もプラスされ、2000万円が売却利益となる、これが繰り延べです。
また、買い替えた家が売った家よりも価格が低かった場合には、その割合で控除が受けられます。
1,000万円で取得した家が2000万円で売れたけれど、1,500万円の新居を買った、という場合、利益は1,000万円ですが、それでは新居の代金に足りません。
この場合は利益1,000万円の75%(1500÷2000)が控除されます。
買い替えの際、もしも不動産売却で「損失(赤字)」になった場合は、売却した翌年に確定申告をして、損失した分を他の所得から引くことが可能です。(損益通算)
もし、翌年の所得から控除しきれなかった場合は、翌年からさらに3年間に渡り繰り越すことも可能です。(譲渡損失の繰越控除)
不動産売却の注意点は「確定申告」
不動産売却したら、確定申告を必ずしましょう。儲けが出た場合も、その情報を正しく届け出る必要があります。
- 確定申告とは?
- 次年度の所得課税額を算出するための申告手続き。1月1日~12月31日までに得収入分から経費を引き、利益を確定した上で、決められた期間内に申告すること。
不動産売却によって儲けが出た場合、その儲けに対して税金が課税されます。確定申告を忘れてしまうと、税務署から警告の書類が届きます。
毎年2月~3月が確定申告シーズンとなりますから、忘れずに覚えておきましょう。よくわからない場合は、税理士や税務署に相談するのがおすすめです。
不動産売却で儲けが出なかった場合、基本的には確定申告は不要となります。
不動産売却時期によっては、確定申告まで少し時間が空いてしまうことも。自身の状況に合わせて、必要であれば事前に準備を整えておきましょう。
印紙税
印紙税とは、売買契約書に貼る収入印紙にかかる税金のことです。
2022年3月31日までは、軽減税率が適用されています。以下の税率を参考にしてください。
売却価格 | 本則税率 |
---|---|
10万円超~50万円以下 | 400円(200円) |
50万円超~100万円以下 | 1,000円(500円) |
100万円超~500万円以下 | 2,000円(1,000円) |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円(5,000円) |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円(10,000円) |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円(30,000円) |
1億円超~5億円以下 | 10万円(60,000円) |
※この上もあり。
※印紙税については、令和4年3月31日まで軽減税率が適用され、カッコ内の金額となっています。
1億円を超える売買は個人ではそうそうないと思いますので、高くても数万円程度だと思っておけば良いでしょう。
登録免許税
登録免許税とは、売買に伴う所有権の移転登記にかかる税金のことです。
固定資産税評価額の2%となっていますが、移転登記は通常買主が負担することが多いので、売主が支払うことはあまりないでしょう。
ローンを完済して抵当権も抹消されている物件でないと、買い手がつかないですよね。ですからこの手続きをしておかないと後々面倒になります。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は不動産1つあたり1,000円です。申請書に印紙を貼って納めます。
詳しくは、後述の「抵当権抹消手続きを自分で行う」を参考にしてみてください。
消費税
うっかり忘れがちなのが消費税です。売却にあたっては個人が全て自分で行うのは難しいため、不動産屋に仲介を頼みますし、申請書の作成を司法書士に頼んだりしますよね。
どのくらいかかる?さまざまな手数料関連
税金の他にも、さまざまな手数料がかかります。これもざっとどのくらいかかるのか、大体の額を見込んでおきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産売買を不動産会社に対してお願いして「売却が成立」した場合に発生する手数料です。媒介契約を結ぶ時に発生するものでは有りません。
つまり、自分で知っている人に土地や家を売ればかからない費用ですが、不動産会社を通して売買すれば、契約成立とともに支払う必要が出てくるお金です。
ほとんどの不動産会社が上限額を設定していますから、売れた場合はそれなりに高額な費用になりますね。
仲介手数料は不動産会社によってまちまちですが、上限額は法律によって決められています。
売却価格 | 手数料の上限 |
---|---|
200万円未満 | 売却価格×5.5% |
200万円以上~400万円未満 | 売却価格×4.4%+2.2万円 |
400万円以上 | 売却価格×3.3%+6.6万円 |
※消費税率10%の場合
仲介手数料=売却価格×3.3%+6.6万円
例えば1000万円で家が売れた場合の仲介手数料は、以下の通りです。
その他、売却価格別の下記仲介手数料の早見表を参考にしてみてください!
不動産売却価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
---|---|
500万円 | 231,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
仲介手数料は、一般的に値引きは困難だといわれています。
- 飼い主と売買契約を結ぶ時点で半額
- 物件引き渡し時に残り半額
が通常の支払いタイミングです。
仲介手数料は売買が成立していなくても支払う場合もある
仲介手数料は、上記のとおり売却が成立した時に、2つのタイミングで50%ずつ支払うことになっています。
ですが、売買が成約しなくても仲介手数料の支払いを求められることもあります。
- 手付解除
- 違約解除
- 手付解除とは…
- 売買契約後の30日間は、理由を問わず契約解除ができます。買主は手付金を放棄、売主は受け取った手付金を2倍返却することで契約解除が可能です。
売買契約が成立していなくても、不動産会社へ仲介手数料を支払うことになります。
- 違約解除とは…
- 売買代金を支払わないなど契約違反が認められて場合、契約が解除となります。契約違反をした相手に対して違約金を請求することができます。
違約金については、売買契約に対して10~20%程度と決められています。そして、こういった場合でも、不動産会社へ仲介手数料を支払うことになります。
繰り上げ返済の手数料
住宅ローンのためにお金を貸してくれている金融機関は、融資と引き換えに不動産を担保にしています。これを「抵当権」と言い、住宅ローン返済中の不動産に設定されているのです。
この抵当権を外さないと、不動産は売却することは出来ないのです。なので、住宅ローン返済中の方は、まずローンを一括返済してからでないと一般売却はできません。
金融機関によっては、住宅ローンを繰り上げ返済で一括で返す場合、手数料が必要になってくるところもあります。
- 電話経由
- ネット経由
- 窓口
借り入れしている金融機関によって、返済方法は異なります。選べる場合は手数料を比較して、一番安くなる方法を選んでください。
抵当権抹消の手続きは、自身でもできますし、司法書士に依頼して進めてもらうこともできます。後述しているので参考にしてみてください。
土地境界確定測量費用
土地を売る前に必要になってくる費用です。土地を売るには、「この土地はどのくらいの大きさがあるのか」ということが明確になっていなければ価格が決められないからです。
長年住んでいる場合などはお隣さんとの境目が曖昧になっていることもあり、専門家に頼んで測量してもらうことが必要です。
費用はまちまちなのですが、だいたい30〜80万円ほどが相場といわれています。(※30坪~50坪程度の場合)
登記に関する費用
登記に関する税金については先ほど説明した通りです。
自分で書類を作成できれば良いのですが、たいていは司法書士などの専門家に依頼することが多いと思います。その際の手数料(報酬)が必要になってきます。
これも人によってまちまちなのですが、およそ1〜3万円程度見込んでおけば良いでしょう。
その他、場合によってかかる費用
以下に説明する費用は、必ずしもかかる費用ではありません。売る物件によって違いますので、もし該当する場合には参考にしてください。
建物の解体費
今建っている家が古くてリフォームできないかも…という場合には取り壊してから売った方が土地が高く売れる場合もあります。
坪単価は、
- 木造:4万円前後
- 鉄骨:5万円前後
といわれています。
ただし、地域によってもかなりばらつきがありますので、いくつかの会社に見積もりを出して比較してみてください。
クリーニング代
家をそのまま売る場合には、ハウスクリーニングをしてできるだけきれいな状態で見てもらった方が売値が高くなったり、買い手が見つかりやすくなる可能性があります。
自分で掃除するだけよりも、プロに掃除してもらったほうが印象が良い箇所は、お願いすることで、値下げ交渉を受けにくくなったりということにも繋がります。
- トイレ
- キッチン
- 浴室や洗面台
- 水回り
- 床や壁紙
こちらも広さや汚れ具合によって変わってきますが、10万円前後を見込んでおくと良いでしょう。
廃棄物の処分
引越しをする際に、いらなくなったものを廃棄することになると思います。
自分で自治体の粗大ごみとして出す方法が最も安いと思いますが、ゴミ出しの日が決まっていたりと、引渡し日までにすべて処分できない可能性も。
また、全部捨てるのではなく、使えるものは買い取り業者に依頼するなどすれば、少しでも処分費用を抑えることができるでしょう。
これも買取業者に見積もりを出して、少しでも高く買取をしてくれるところに依頼をするといいですね。
あとは、日々少しずつでも処分していくことで、まとめて処分ということを防ぐことができます。
引っ越し費用
不動産を売却するときに、すでに新居が出来上がっていて、そこに引越しができれば良いのですが、建築中の場合にはそうはいきません。
仮住まいに引越し、その後に新居に引っ越すことになりますから、引越しが2回あるわけですね。
家族が多いほど引越し費用もかさみます。10〜20万円程度かかりますから、その費用を見込んでおくこともお忘れなく!
売却時にかかる費用を少しでも少なくするための3つのコツ
不動産売却には、想像以上の費用がかかってしまうもの。できるだけ多くのお金を手元に残すためには、いったいどうすれば良いのでしょうか。3つのコツを紹介します。
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
不動産会社を介して不動産を売却する場合、仲介手数料が発生します。仲介手数料とは、不動産会社にとっての儲けです。
先ほど、仲介手数料の計算方法を紹介しましたが、この数字はあくまでも「上限」です。不動産会社によっては、「仲介手数料半額」や「無料」を売りにしているところもあります。
「依頼してからの値下げ」は不可能でも、「手数料が安い不動産会社を探して選ぶ」ことは可能です。ぜひ、不動産会社を比較検討してみてください。
ただし、不動産会社の良し悪しは、手数料だけで決まるものではありません。「仲介手数料は安くても、売れなければ意味がない」という点も念頭に置いて、より良い不動産会社を選ぶようにしましょう。
抵当権抹消手続きを自分で行う
住宅ローンを組んでいる方が不動産売却をする時に必要になるのが、抵当権抹消手続きです。司法書士に依頼することも可能ですが、自分で行えば依頼料を節約できます。
抵当権抹消手続きを自分で行う場合の手順は、以下の通りです。
- 必要書類を準備する(ローンを組んでいた金融機関から送られてくる)
- 抵当権抹消登記申請書を作成する
- 法務局に抵当権抹消登記の申請を行う
- 登記完了証を受け取る
申請書は法務局のホームページからダウンロード可能です。
- 弁済証書
- 登記済証または登記識別情報
- 登記事項証明書
- 委任状
これらの書類を準備した上で、手続きを進めていきましょう。わからない点があれば、法務局で相談することで、書類作成をサポートしてもらえます。
税金に関する適切な知識を身に付ける
ここまで見てきてわかるとおり、不動産売却にかかる費用で、負担が大きいのは「税金」です。特に注意したいのが譲渡所得税ですが、特例を使えば負担を軽減できるでしょう。
住まなくなった住宅を売却するなら、「3年以内」が鉄則です。面倒だからと後回しにせず、きちんとした知識を身に付けて、適当な時期に売却活動をスタートしましょう。
不動産を売却するにはお金がかかる!よく調べてから売ろう
この土地と家を売ったらお金が入る!そのお金を何かに充てよう、と考えていても、思いのほか残らないかもしれません。
少しでも売却益を残すには、どのくらい税金や手数料がかかるのかを考え、その上で相場と相談しながら売値を決めていくことが大切です。
そのためにも信頼できる不動産会社を見つることが、大変重要になってきます!
そしてしっかりと相談しながら売却を進めていきましょう。
不動産売却を依頼するならどこがいい?
不動産売却を依頼する不動産会社は、慎重に決定しましょう。おすすめの不動産会社は、以下のような条件を満たしているところです。
- 同条件の不動産売却実績が豊富
- 査定金額の根拠を提示してくれる
- 良い点(メリット)だけではなく、悪い点(デメリット)もきちんと伝えてくれる
- コミュニケーションがしっかり取れ、連絡ミスがない
- わからないことには、なんでも回答してくれる
- 信頼してお任せできる
一言で「不動産売却」と言っても、「マンション」と「農地」には非常に大きな差があります。マンション売却が得意でも、農地売却が得意とは限らないのが現実です。
だからこそ、自身が売却を予定している物件について、不動産会社側がどれだけの実績を持っているかが鍵となります。査定時や問い合わせ時に、ぜひ積極的に問い掛けましょう。
不動産売却ランキング上位の会社は?
上記のポイントを意識しても、不動産会社選びの決め手に欠ける場合、各種ランキングを参考にするのもおすすめです。
株式会社住宅新報が発表した不動産売買仲介実績ランキングは、以下の通りです。
- 1位 三井不動産リアルティグループ
- 2位 住友不動産販売
- 3位 東急リバブル
- 4位 野村不動産グループ
- 5位 三井住友トラスト不動産
- 6位 みずほ不動産販売
- 7位 三菱UFJ不動産販売
- 8位 オープンハウス
- 9位 積水ハウスグループ
- 10位 東宝ハウスグループ
また、株式会社oricon MEが発表している「不動産仲介 売却 顧客満足度ランキング(戸建て)」も参考になります。
- 1位 住友林業ホームサービス
- 2位 野村の仲介+
- 3位 東急リバブル
- 4位 三井住友トラスト不動産
- 5位 三井のリハウス
- 6位 積水ハウス不動産グループ
- 7位 近鉄の仲介
- 8位 住友不動産販売
- 9位 福屋不動産販売
- 10位 センチュリー21
- 11位 ハウスドゥ
ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
不動産売却を成功させるためのポイント4つ
ここからは、不動産売却を成功させるためのコツについて解説していきます。初心者だからこそ覚えておきたいポイントは、以下の4つです。
不動産一括査定を利用しよう
何度もお伝えしている通り、不動産売却を成功させる上で、鍵となるのが不動産会社選びです。より多くの不動産会社を知るため、不動産一括査定サービスを利用しましょう。
「不動産会社に連絡を取る→査定を受ける」という流れを、面倒に思う方もいるかもしれません。最初の一社でそれなりに満足できたら、そのまま契約してしまうケースもあるのではないでしょうか。
しかし、不動産売却初心者にとっては、一括査定の利用もリサーチ活動の一つ。できるだけ多くの業者から査定結果を受け取れば、自然と相場感覚も身に付くもの。
また、不動産会社同士を比較検討することで、それぞれのメリット・デメリットも見極めやすくなるはずです。
相場を事前にリサーチしておこう
不動産売却時に、重要な意味を持つ情報が「相場」です。
不動産会社が提示する査定金額から相場感覚を掴むのも一つの方法ですが、できれば査定前に、自分でもリサーチしておくのがおすすめです。
相場が分かっていれば、不動産会社が提示した査定金額について、その場である程度の判断ができるようになります。
相場よりも不自然に高い査定金額を提示する不動産会社は、最初の段階で切っておくのがおすすめです。また、査定金額の根拠を聞いたときにも、話を理解しやすくなるでしょう。
少し手間はかかりますが、事前に相場を知っておくだけでも、有利に動ける可能性が高まるはずです。
売却のタイミングを見極めよう
不動産をできるだけ高く、素早く売却するためには、タイミングも重要。具体的には、以下のような時期を狙うのがおすすめです。
- 相場が上昇しているタイミング
- 人の移動が多いタイミング
価格の高い不動産は、そう簡単に購入できるものではありません。また、常に必要な消耗品というわけでもありませんから、売却時期が非常に重要です。
相場が上昇しているのは、多くの人が不動産を求めている証拠です。売却には適していて、売主が有利な立場で話を進めていきやすくなります。
また、人の移動に伴って不動産需要は高まります。
買い手を意識した販売戦略を立てよう
不動産売却を成功させるために、欠かせないのが「買い手」です。だからこそ、買い手を意識した販売戦略が重要です。
たとえば、広すぎる土地をちょうど良い大きさに分割したり、古い部分を修繕した上で販売したりする戦略がおすすめ。
費用対効果を見極めた上で、効果の高い方法を取り入れていきましょう。
また、売り出し価格の設定も、買い手目線を意識して決定するのがおすすめです。最初は相場よりも少し高めの価格を設定し、徐々に値下げしていきましょう。
失敗を避けるためにやってはいけないこと3つ
不動産売却で失敗しないため、やってはいけない行動には、どのようなものがあるのでしょうか。3つの行動を紹介します。
境界未確定のまま売りに出す
土地や一戸建てを売却する場合、隣地との境界が未確定の場合があります。確定し、測量するためには多額の費用がかかることから、「できれば避けたい」と思う方もいるかもしれません。
ただ、境界未確定の不動産を売りに出すと、後にトラブルに発展する可能性も。トラブルを敬遠し、買い手が付きにくくなるので注意しましょう。
不動産会社を吟味しない
不動産会社にとって、仲介する物件の確保は重要なポイント。このため、なんとか自社と契約してもらおうと、あの手この手で、売主の気を引こうとします。
- できるだけ高い査定額を提示する
- 仲介手数料を無料にする
不動産会社が提示する査定額とは、「この程度の価格で売れるだろう」という目安です。「絶対にこの金額で売れる」という確証があるわけではありません。
高い査定額を提示してくれる不動産会社の方が良いように見えても、実際には「価格が高すぎて買い手がつかない…」なんてことにもなりかねないのです。
また、仲介手数料無料をうたう不動産会社の中には、売主と買主の両方から仲介手数料を得る「両手仲介」という手法を取っていることも。
不動産会社にとって都合の良い買主しか紹介されなくなるため、やはり「物件がなかなか売れない…」といったトラブルを抱えてしまう恐れがあります。
内覧時の対応を疎かにする
不動産会社の対応が適切でも、内覧時の対応によっては、やはり買い手が見つかりにくくなってしまいます。
不動産売却を成功させるためには、不動産会社の実績だけでは不十分です。やはり、売主側の熱意や努力も求められます。
内覧時のポイントとして、特に意識したいのは以下の2点です。
- きれいに片付け、丁寧に清掃する
- マイナス要素も正直に伝える
生活感のあるごちゃごちゃした雰囲気は、買主のイメージを壊してしまうもの。できるだけ良いイメージを抱いてもらえるよう、できるだけ片付けておきましょう。
不要物を処分しておくだけでも、家全体をすっきりとした印象に見せられます。
また、キッチンやお風呂、トイレといった水回り設備は、特に清潔さを意識したいポイントです。内覧が入る前には、できる限りきれいにしておきましょう。
また、内覧に訪れている人に、安心感を抱いてもらうことも重要なポイントです。
どんな物件にも、ネガティブな要素はあるものです。マイナス要素についても、自分から正直に伝えるよう意識すると、信頼感が増すはずです。
初めての不動産売却…相談先はどこにある?
初めての不動産売却は、わからないことだらけ…という方も多いことでしょう。
こんなときは、頼りになってくれる専門家を頼るのがおすすめです。不動産売却関連の相談に乗ってくれるのは、以下のような方々です。
不動産会社 | 不動産売却の流れや、主な手続きについて相談したいとき。 査定依頼をしたいとき。 |
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不動産鑑定士 | 保有している不動産の価値について見極めたいとき。 |
税理士 | 不動産売却時の税金について相談したいとき。 |
弁護士 | 不動産売買に関わる法律について相談したいとき。 仲介契約・売買契約において、何らかのトラブルが発生したとき。 |
司法書士 | 不動産売買に関わる登記事項の手続きや変更について相談したいとき。 |
土地家屋調査士 | 不動産の登記や測量について相談したいとき。 |
自身が困っている内容に合わせて、相談先を見つけてみてください。
不動産売却の第一歩は不動産一括査定から!
不動産売却を成功させるためには、まず複数の不動産会社とコンタクトを取り、実際に話を聞いてみるのがおすすめです。
特に初心者の方は、「不動産売却を検討しているが、うまくイメージできず、一歩が踏み出せない」というケースも多いのではないでしょうか。
まず一括査定を申し込み、いろいろな不動産会社の話を聞いてみることで、「まず何をすれば良いのか」も見えてくるでしょう。
不動産一括査定は無料で使えるサービスですし、入力方法も非常に手軽です。「まだ売却を決めたわけではない」という場合でも、便利に使えます。
このコラムで不動産売却の流れやコツについて学んだら、ぜひ不動産一括査定から、具体的な行動をスタートしてみてください。