不動産売却の流れ 2019/11/13
媒介契約の種類と特徴を知ろう!不動産が早く高く売れる方法とは?
一般の人は「媒介契約」なんて言葉すら聞いたことがないと思いますが、不動産を売却するならぜひ知っておいてほしい言葉です。
媒介契約とは不動産を売るために不動産屋と結ぶ契約のことですが、種類があります。
それぞれ特徴がありますので、どの契約が適しているかを判断するためにも、中身をよく理解しておくことが必要です。
今回は不動産の媒介契約の種類ごとの特徴やメリット、デメリットについて詳しくまとめました。契約を結ぶ前にそれぞれの違いをよく理解して、失敗しない不動産売却のお役に立ててください。
知っておきたい、3種類ある媒介契約の違い
媒介契約には、3種類あります。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
です。
媒介契約の3種類
3種類の違いは、以下の5点です。
- 自分で買い手を見つけても良いか
- 一社しか契約できないか、複数と契約できるか
- 指定流通機構(レインズ。以下、レインズという)への登録義務があるか
- 販売状況の報告義務があるか
- 契約期間の違い
つまり、どのようにして売却活動を行うか、契約の中身の違いです。
媒介契約を結ぶ際には必ず不動産屋と契約書を取り交わします。
その際に、「この契約はどんな契約なのか」ということを理解した上で話を進めていくことが大切です。決して言われるがままに契約書にハンコを押すことだけはやめましょう。
媒介契約で知っておくべき6つのポイント
3種類の媒介契約の話をする前に、媒介契約の基礎について理解しましょう。
媒介契約とは、自分の代わりに不動産会社に頼んで、買い手を見つけてもらうための契約です。
一般の人が自分の力で不動産を売りに出したり、売買契約を結んだりするのは難しいからです。
媒介契約を結ぶ時には、以下の6点について確認をしてください。
- 媒介契約の種類はどれか
- 指定流通機構への登録はどうなるか
- 売主への業務報告義務
- 媒介契約の有効期間
- 報酬(仲介手数料)の支払額、支払時期
- 違約金について
仲介手数料は、買い手がついて売買契約が締結されて初めて生じるものです。売却活動だけで発生するものではありません。ただし、いつ払うのか、
- 契約を結ぶ時
- 決済の時
など、支払う時期を決めておかないとトラブルになりがちです。
契約時と決済時に半々ずつ、もしくはどちらかのタイミングで100%払うことが多いようです。
その他、目的物件の地番や面積なども改めて確認をしてください。
媒介契約を結ぶ時期
通常、いきなり不動産会社を訪問して、媒介契約を結ぶことはありません。
まずはいくつかの不動産屋に査定をお願いし、納得のいく会社が決まったら媒介契約を結びます。
ここからが本格的な売却活動の開始となります。
特に仲介手数料は安くありませんから、支払う時期などがうやむやになっていると面倒なことになります。
契約は必ず書面で締結することをおすすめします。
専属専任媒介契約は一社のみと契約をする
専属専任媒介契約とは、読んで字のごとく、一社のみと契約を結び、全てをその一社に託す方法です。
この契約をすると、他の会社に依頼することはできませんし、自分で買い手を見つけることもできません。
レインズへの登録義務
専属専任媒介契約にすると、契約の翌日から5営業日以内にレインズへの登録が義務付けられています。
レインズに登録することで、会員となっている不動産会社が売却情報を閲覧できるようになります。
それによって、より広く購入希望者を探すことができます。
契約期間は3ヶ月
専属専任媒介契約の契約期間は3ヶ月です。3ヶ月を超えての契約はできません。
メリット
メリットとしては、不動産会社には売主に対して7日に1回以上の販売状況の報告が義務付けられていることが挙げられます。
こまめに報告をしなければならないとされているので、こちらとしても売却活動がどうなっているのかを詳しく知ることができます。
積極的に売却活動を行い、何としても期間内に買い手を見つけようという意気込みを見せてくれるでしょう。
デメリット
デメリットとしては、実際の売却活動が始まってから、その内容に納得がいかない、業者を変えたいと思っても、3ヶ月は変更ができないという点です。
不動産会社としては、あなたからも買い手からも仲介手数料をもらいたい、両方の仲介手数料を得られる時が最も利益が大きくなるわけです。これを両手仲介といいます。
しかし、レインズを通して他の不動産会社から、「この物件を買いたいという人がいるので、仲介させてほしい」と連絡があった時に、それに応じてしまうとあなたからは仲介手数料を受け取ることができても、買い手の仲介手数料は別の不動産会社に入ってしまいますね。
不動産会社が故意に情報を隠して売却を遅らせるようなことは法律で禁止されています。
だからこそ、専属専任媒介契約は5日以内のレインズへの登録が義務付けられているわけです。
しかしながら、仲介手数料2倍を狙って、囲い込みをする不動産会社があるのも事実です。
だからこそ、契約を結ぶ前にどんな業者なのかをしっかり見極めることが大切になってきます。
専任媒介契約は一社のみと契約をしながら自分でも買い手を探せる
専任媒介契約は、契約できるのは一社ですが、自分でも買い手を見つけることができる契約の方法です。
有効期間は3ヶ月
専任媒介契約の契約期間は専属専任媒介契約と同じ、3ヶ月です。3ヶ月を超えての契約はできません。
メリット
レインズへの登録義務は契約から7日以内、売主への販売状況の報告は14日に1回以上となります。
専属専任媒介契約と比べるとゆるくなるものの、報告はきちんと受けられるので、売却活動がどうなっているかを知ることができます。
3ヶ月以内に売却しないと仲介手数料がもらえませんから、不動産会社もしっかり活動してくれるでしょう。
また、不動産会社に依頼しながらも、自分で買い手を見つけることができるので、もし早く、高く売れそうな購入希望者がいれば、そちらと売買契約を結ぶことも可能です。
デメリット
デメリットとしては、専属専任媒介契約と比べると、レインズへの登録が遅くなる点、報告義務の回数が減ってしまう点でしょう。
その期間内に積極的に売却活動をしてくれれば、早々に購入希望者が見つかる可能性もあります。
また、報告義務の回数が減るということは、不動産会社にとってはコストや手間の削減になり、ありがたいことです。
デメリットがメリットに変えられるなら、専任媒介契約の方が有利になる場合もあるということです。
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を結べる
一般媒介契約とは、複数の会社と媒介契約を結びつつ、自分でも買い手を見つけることができる契約の方法です。
売買契約を結ぶに当たって特に制限もなく、自由に売却活動が行えます。
レインズへの登録も義務ではなく任意であり、販売状況の報告も義務付けられていません。
明示型と非明示型
一般媒介契約には明示型と非明示型があります。
- 明示型
- 他にどこの不動産会社と契約しているかを通知する。
- 非明示型
- 他に契約している会社を特に知らせない。
どちらが良いかは、依頼者が決められます。
ただし、どちらの方法をとったとしても、売買契約が成立した場合にはどの不動産会社と契約したのかを速やかに知らせる必要があります。
メリット
最大のメリットは、仲介を依頼する会社を一つに絞らなくて良いという点でしょう。
たくさんの会社に売り出してもらった方が、早く買い手がつく可能性が高くなります。
買い手が複数現れた場合でも、最終的にどの不動産会社と契約するかはこちらが決められるのです。
不動産会社は、自分が先に買い手を見つけないと仲介手数料を手にできないため、他者に先を越されないように、各社が競争してくれれば早く売却できる可能性があるでしょう。
また、不動産会社に依頼しつつ、自分で売却活動をすることも可能なので、親戚や知人など、買ってくれそうな人に直接交渉することができます。
自由に活動する中でより有利な条件で売却できることも期待できます。
デメリット
複数の会社に依頼できることは、メリットと同時にデメリットになる可能性もあることに注意が必要です。
一生懸命売却活動をしたとしても、他の会社が先に買い手を見つけて売買契約を結んでしまう可能性があるわけです。
そのせいで、各社に適当な売却活動をされてしまうと、なかなか買い手が見つからないという事態もあり得ます。
また、レインズへの登録が義務ではないため、より広く買い手を見つける手立てが制限されてしまう可能性もあります。
結局、早く高く売るためにはどの媒介契約がいいか
3つの媒介契約をご紹介しましたが、結局どの媒介契約が良いのでしょうか。
契約 | 自分での売却 | レインズ | 状況報告 | |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | 一社のみ | 不可 | 5日以内 | 7日に1回 |
専任媒介契約 | 一社のみ | 可能 | 7日以内 | 14日に1回 |
一般媒介契約 | 自由 | 可能 | 登録義務なし | 報告義務なし |
メリット、デメリットを考えた時に、一番無難なのは専任媒介契約ではないでしょうか。
とりあえず契約するのは一社であり、レインズへの登録義務も状況報告義務もあります。なおかつ、自分でも売却活動をすることができます。
しかし、囲い込みの問題などもありますので、本当に信頼できる会社を見つけることが売却成功のカギになりそうです。
媒介契約を結ぶ前に再度確認しておくべきポイント
媒介契約を結ぶ前に、今一度確認しておきたいポイントについてまとめました。
売却の条件を改めて確認
早く売れればいいというものでもありませんので、
- 購入希望価格(値下げをしてもいい額)
- 売却期限
- 引っ越しをしたい時期
など、細かいこともしっかり伝えます。
なるべく自分が希望する条件で売却できるように、納得がいくまで話をして、条件についてお互いの勘違いがないようにしてください。
査定額の根拠
不動産の査定の方法にはいくつかありますから、何を根拠としてその額を提示してきたのか、きちんと説明をしてもらってください。
そこで説明がわかりづらかったり、話を聞いていて納得できないなら、その会社を選ぶべきではありません。
売主とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築いていこうという姿勢が見えるかどうかをしっかりと見極めてください。
仲介業務の内容と手数料
売買契約が成立すれば仲介手数料を支払うことになります。通常は、法律で決められている上限額を提示してきますし、値引きすることは難しいといわれています。だからこそ、
- どのような仲介業務をしてくれるのか
- 仲介手数料の支払時期(売買契約成立じか引き渡し直など)
細かい点についても契約を結ぶ前にしっかりと話し合っておいてください。わからないこと、納得がいかないことがあれば、何度でも聞いてください。
じっくり話して納得のいく不動産会社を選ぶことが何より大事!
不動産売買は、一般の人にはわからないことがたくさんあります。だからこそ、親身になって話を聞いてくれて、誠実な仕事をしてくれる不動産会社を選ぶことが何より大事です。
もし早く売ってしまいたいという気持ちがあったとしても、「ここに任せれば大丈夫」と思えるような会社、担当者に会えるまで、幾つもの会社を回って納得がいくまで話をしてください。