不動産売却の流れ 2020/01/20
リースバックとリバースモーゲージの違いを知ってピッタリを選ぼう
自宅の売却と賃貸を一括で提供する、リースバックが注目を集めています。
リースバックについて積極的に検討していく中で、気になるのが「リバースモーゲージとは、どこが違うの?」という点です。それぞれの特徴や違い、比較検討のポイントを詳しく解説します。
リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借りる制度
老後資金を確保する方法として、耳にする機会も多いのがリバースモーゲージです。
- 自宅を担保に、金融機関からお金を借りる仕組み
- 受け取るお金は「借入金」
- 死亡時、もしくは契約満了時に自宅を売却し、残債を一括返済
- 提供しているのは、自治体や金融機関
自身が亡くなったあと、住まいを必要としない場合、処分に困る方は多いものです。その住宅を担保にして、生前にお金を受け取れることは、非常に大きなメリットとなります。
また契約先が自治体や金融機関というのも、安心感を抱けるポイントです。
通常、お金の借入れを行うためには、返済の心配をする必要があります。また高齢になれば、そもそもお金を貸してくれるところがない!といった問題にぶち当たる可能性も。
リバースモーゲージのデメリットについて
高齢者にとってメリットも大きいリバースモーゲージですが、以下のようなデメリットも存在しています。
- 利用条件が厳しい
- 利用できるエリアに制限がある
- 資金の利用用途に制限がある可能性も
- ローン残高が不動産担保評価額を上回れば、一括返済を求められる
- 金利上昇リスクがある
リバースモーゲージを利用するためには、
- 年齢(○歳以上など)
- 収入(一定額以上が必要など)
- 家の形態(対象は一戸建てのみ)
- 配偶者以外の同居家族がいないこと
といった条件をクリアする必要があります。これらを全てクリアするのは、決して簡単ではありません。
それに加えて、リバースモーゲージで受け取るのは、あくまでも「借入金」です。お金を借りれば、いずれ返済を求められます。
リースバックは自宅を売却し、賃貸する仕組み!
リバースモーゲージと同様に、老後の資金確保につなげやすい不動産取引として、注目を集めているのがリースバックです。
- 第三者に自宅を売却した後に賃貸契約を結び、自宅に住み続ける仕組み
- 受け取るお金は「売却金」
- 自宅に住み続けるためには、家賃を支払う必要がある
- 将来的に、買戻しも可能
- 提供しているのは、主に不動産会社や投資家
リースバックで受け取るお金は、あくまでも自宅を売却したお金です。お金を借りるわけではないので、利用のために厳しい条件をクリアする必要はありません。
また当然、お金を返済する必要もないですし、住む場所が必要な期間だけ、家賃を支払って居住すれば良いというシンプルな仕組みとなっています。
リバースモーゲージとリースバックの違い一覧
リバースモーゲージとリースバックの違いは以下のとおりです。
リバースモーゲージ | リースバック | |
---|---|---|
仕組み | 自宅を担保にお金を借りる | 自宅を売ってお金を受け取る |
取扱機関 | 銀行など | 不動産会社 |
利用後の居住 | 可能 | 可能 |
借入金の有無 | あり | なし |
所有権の移転 | なし | あり |
担保の設定 | 必要 | 不要 |
年齢制限 | あり | なし |
資金用途の制限 | あり | なし |
保証人 | ※銀行によって異なる | 不要 |
対象物件 | 土地付き建物 | 制限なし |
諸費用 | 固定資産税や修繕費 の支払いが必要 |
家賃のみ |
対象者 | 個人 | 個人・法人 |
このように、違いを一覧表にしてみると、全く別の制度であることがわかります。それぞれの特徴や仕組みを理解した上で、自分に合うものを選択しましょう。
任意売却とリースバックについて
リースバックについてリサーチしていくと、任意売却との関連性を目にすることもあります。
初めに頭に入れておきたいのは、リースバックと任意売却は全く別の取引であること。「任意売却の代わりにリースバックを」と考えるのは、残念ながら不可能です。
では、なぜ任意売却とリースバックの関連性が指摘されるのかというと、そこには「競売」の仕組みが関わっています。
- 担保となる不動産を、裁判所が強制的に売却すること
- オークション形式で決定される
- 売却価格が安価になりやすい
住宅ローンが支払えなくなった場合には、裁判所を通して自宅は競売にかけられます。そして債権者にとっては、その売却金が回収できる債券額となります。
担保を競売にかけることは、より多くの債権の回収を目指す債権者にとっても、デメリットだと言えるでしょう。ここで登場するのが任意売却という制度です。
- 住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法
- 第三者の介入で、債権者と債務者の利害を調整することで可能になるケースがある
任意売却を選択すれば、競売よりも高値で売れる可能性もあり、債権者にとってもメリットが生まれます。
またその交渉の中で、自宅を売却した後も、買主との間に賃貸契約を結び、そこに住めるケースも存在しています。これこそが、任意売却とリースバックの関連性です。
リースバックと任意売却は単純に比較できるものではありません。
また、
- 住宅ローンの支払いが滞って、任意売却の後にリースバックを利用する
- 自身の目的のため、自由なタイミングでリースバックを利用する
という2つのパターンでは、状況が全く異なることも頭に入れておきましょう。
自分に合った方法を選ぶことが何よりも重要!
リバースモーゲージとリースバックには、それぞれでメリットもあればデメリットもあります。どちらの方が優れているというわけではなく、それぞれの特徴や仕組みを把握した上で、自分に合う方法を選択するのが一番です。
まずは自分が利用できる制度についてリサーチしてみてください。