空き家の売却 2019/11/15
空き家の固定資産税はどうなる?住宅用地と更地の違いにも注目!
家を相続したけれど使い道がないからといって放置していませんか?いくら使っていない家だからといって、所有しているだけで固定資産税がかかるのです。
しかも現に住んでいる宅地とは違い、「空き家」に対しては特例措置がなくなるために、固定資産税が6倍も高くなるリスクがあるのです。
税金は知らなかったからといって支払わなくてよくなるものではありません。もし「空き家」だと認定されてしまえば、目が飛び出るような固定資産税を支払う必要が出てきます。
では空き家をどう管理すればいいのか、更地にしてしまえば固定資産税は減額されるのか、節税対策のための空き家管理についてお話しします。
空き家を放置しておくと固定資産税が6倍になる危険
田舎の空き家だし、それほど資産価値もないし、広くもないからこのくらいの固定資産税は支払っておくか、と空き家を放置しておくと、固定資産税が増額される危険があります。
全国的に空き家が増えていることから、平成27年5月に「空家対策特別措置法」が施行され、この法律によって「特定空家」に指定されてしまうと、やや面倒なことになるのです。
特定空家には特例が適用されない
通常、固定資産税というのは特例措置がありまして、例えば小規模住宅(200平米まで)なら
- 固定資産税は1/6
- 都市計画税は1/3
と減税されているのです。
ところが、特定空家に指定されますとこの特例措置がなくなってしまい、通常の税額に戻されます。
つまり、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になるのです。
◆現行の特例措置
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
更地(建物なし) | 課税標準の1.4% | 課税標準の0.3% |
小規模住宅用地(200平米まで) | 課税標準×1/6 | 課税標準×1/3 |
一般住宅用地(200平米を超えた分) | 課税標準×1/3 | 課税標準×2/3 |
空家だからといって放置しておくと、管理をする以上のお金がかかってしまうということです。
特定空家とは
ではどうすると特定空家に指定されてしまうのか、その条件を見てみましょう。
使っていないことをどう判断するかは、
- 電気、水道、ガスなどが使われていない(使える状態でない)
- 1年以上誰も出入りしていない
などの条件が基準となります。
家の中がきれいかどうかではなく、「1年以上誰も使っていない」というのがポイントです。
たとえそこに住んでいなくても、年に1回手入れに行っているなど「使用」の痕跡があれば空き家にはなりません。
逆に、きれいな状態で2年放置されていたらそれは立派な空き家なのです。
しかし、空家だからといって即「特定空家」になるわけではありません。特定空家とされるにはさらに条件があります。
- 1.倒壊の恐れがあること
- 老朽化していて家屋そのものはもちろん、屋根、門、看板などが倒壊しそうになっているような状態。
- 2.衛生上有害となる恐れがあること
- ゴミが不法投棄されていたり野良猫などの動物が棲みついて衛生上問題がある状態
- 3.著しく景観を損なっている状態
- 落書き、雑草、ゴミなどによって見た目が汚くなっている状態。
- 4.放置することが不適切な状態
- 害獣の鳴き声、ゴミの臭い、または不審者が住み着くことによる治安の悪化などそのままにしておいては近隣に迷惑を及ぼすと判断される状態。
行政指導には応じること
特定空家と認定されてしまうと、まずは行政が実態を調査の上、助言または指導が入ります。自治体の調査は拒否することができませんので、素直に受け入れてください。
しかしここでいうことを聞かずそのまま空き家を放置すると、次に勧告が行われます。
この勧告を受けてしまいますと固定資産税の特例措置がなくなりますので、税金が6倍になってしまいます。
ですから、特定空家と認定されたらまずは今の状態を改善すること、行政の指導に従うということが重要です。
課税は1月1日の時点で判断される
勧告を受けてもまだチャンスがあります。
というのも、特定空家の調査や指導は年間を通して行われているものですが、固定資産税の課税の基準日は1月1日です。
そのまま固定資産税の特例を受けたいのならば、12月31日までになんとかすることです。
行政指導を無視すると強制解体される場合も
大した税金ではないから払えばいいとそのまま特定空家の状態で放置しておくと、さらに面倒なことになります。
罰金もあり
たとえば立ち入り調査を拒否したり、勧告を無視し続けるなど悪質だと判断されてしまうと、
- 調査の拒否は20万円以下の罰金
- 勧告の無視は50万円以下の罰金
というペナルティが待っています。
勧告、命令
勧告というのは、助言や指導に従わない、改善が行われていないと判断された時になされるものですが、法的な強制力はまだありません。
指導よりもやや強く、「早く崩れそうになっている2階の壁を直してください」など具体的な措置方法を示すとともに、指導に従わないから税金を上げますよ、という内容です。
命令は、勧告の内容をさらに強く伝えるものです。これは代執行の前の最後の通達になるので、早めに対処した方が良いでしょう。
まず、これから命令が出されますよ、だから準備をしてくださいという通達が来ますから、空家の所有者は意見書や証拠を提出しなければならなくなります。
意見書の代わりに公開による意見聴取の機会を市町村長に対して請求することもできます。
ここで意見書を出さず、意見聴取も請求しなければいよいよ命令が出されてしまいます。
強制対処
命令にも従わないとなると、最後の手段で強制的に家が解体されてしまうことになります。
行政が勝手に解体してくれるなら任せよう、などと思ってはいけません。解体費用は全額、空家の所有者に請求されます。
行政と話し合う姿勢が大事
そうはいっても、遠方でなかなか管理に行けなかったり、本当にお金がなくてどうにもしようがないという場合もあるでしょう。
そんな時はまず行政と相談をしてください。自治体が運営している空き家バンクを利用するという方法もあります。
どんな理由があっても、空き家を放置することでメリットは一つもありません。
なるべく早く行政と話し合い、対処法を考えることが大切です。放置しておけば、固定資産税が上がるばかりか、解体費用まで請求されることになるからです。
更地にすれば節税になる?住宅用地と更地の違い
では、面倒な空き家はさっさと解体してしまい、更地にしてしまった方がいいのでは?と思うかもしれません。
そこで、宅地と更地の違いについても見てみましょう。
更地にすると税金が上がる場合も
更地なら管理しなくていいからと思われがちですが、固定資産税が高くなる可能性もあります。
これは、今まで払っていた建物への税金がどのくらいあるかによって変わってきます。
固定資産税、都市計画税は、建物と土地、両方にかけられています。建物があれば宅地用の特例がありますから、固定資産税、都市計画税ともに減税されています。
つまり、更地にすることで土地にかかる税金は上がるけれども、建物の税金はかからないので、トータルでいくらになるか計算してみる必要があるということです。
所有する土地の広さによって特例も違います。
更地の場合の税額を計算して今の税額よりも高くなるなら、更地にはせず建物を管理していった方が維持費は抑えられるでしょう。
解体費用も考える
更地にした方が少し税金が安くなりそうだ、となった場合、それで本当に良いかどうか、解体費用も考えてみてください。
節税効果がそれほど大きくない場合に、解体費用として100万円以上のお金が必要となると、それが本当に得なのかをよく考える必要があるでしょう。
解体は行政による補助も受けられる
空家対策特別措置法には解体費用を補助する制度があります。
自治体によって金額も募集時期も違いますが、補助制度を利用すれば、全額負担しなくても解体ができるでしょう。
空き家はしっかり管理するか売却するか、放置はダメ!
空き家は放置しておいても全くメリットがありません。
- きちんと管理する
- 売却する
- 解体して更地にする
いずれかの方法を選ばないと、固定資産税が上がるだけでなく、いずれは強制的に解体されてしまう可能性もあるのです。
更地にしても土地を持っているだけで固定資産税はかかりますから、税金を払い続けてでも所有し続けたいと思わないなら、売れる時に売ってしまうのが一番でしょう。