空き家の売却 2019/11/15
空き家を解体する費用は?業者選びや手続きなどを徹底解説!
空き家のままでは危険、税金も高くなると聞いて解体してしまおうと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし解体するのにも費用がかかりますから、業者選びが大切です。信頼出きる業者に依頼して、適切に処理してもらいたいですよね。
また、空き家を解体して更地にするにはどのような手続きが必要なのか、申請についての詳しいことも知りたいですよね。
空き家解体にも手続きがいるのか、と思っている人のために、どのような届け出が必要なのかなど費用と合わせて詳しく解説していきます。空き家を解体したいと思っている方は、是非参考にしてください。
残しておくよりいい?空き家を解体するメリット
いつか売れるかも、と古い空き家を残しておいてもあまりメリットはないかもしれません。それよりもさっさと解体してしまった方が良いこともあるのです。
管理の手間がかからない
家は生き物ですから、管理していないとどんどん老朽化します。
日本の気候では湿気がこもりやすく、家が傷む条件が揃っているために、適度に換気をしないとカビが生えてしまいます。
庭の雑草の手入れなど一苦労ですが、放置しておけば虫が増えるなどしてご近所さんに迷惑がかかります。
老朽化が進んで倒壊などしたらさらに大変なことになるでしょう。
空き家が近所にあるならまだしも、遠方にあるとなると通って手入れをするのは非常に手間がかかりますし、お金もかかります。
それならばいっそのこと解体してしまった方が、管理の手間がかかりません。
更地の方が売りやすい場合もある
最近はあえて古い家を買って自分でリノベーションしたいという人もいますが、それはその価値があると思える建物だった場合です。
そうでない場合は更地にしてしまった方が売却しやすいこともあります。
特定空家に指定されない
管理が行き届いていない空き家をそのままにしておくと、空き家対策特別措置法による「特定空家」に指定されてしまう場合があります。
そうなると固定資産税の特例が受けられなくなるだけでなく、最終的には強制撤去されてしまう可能性もあります。
その費用は全額所有者に請求されますから気をつけたいところです。適切に管理できないならば、解体してしまった方が良いでしょう。
それなりに費用もかかる、空き家を解体するデメリット
とはいえ、すぐに空き家を解体できるかというと実際はそうでもないでしょう。費用もそれなりにかかります。
解体費用がかかる
家を建てるほどではないにせよ、空き家を解体するにも費用がかかります。
木造よりも鉄筋コンクリートの方がコストは高いので、家の構造次第では数百万円かかるでしょう。
解体とあわせて、不用品の処分などにもお金がかかりますから、なかなかすぐには手をつけられません。
固定資産税が増える可能性
家が建っていて「宅地」としての扱いを受けていると、固定資産税は通常の1/6になっています。
しかし空き家を解体して更地にした場合、その特例がなくなりますから、
- 固定資産税は6倍
- 都市計画税は3倍
になってしまうのです。
思い出がなくなってしまう
その空き家が自分の生まれ育った家だった場合、解体することで心の拠り所がなくなってしまう人もいます。
管理も大変だし維持費がかかるのは困るけれど、かといって気持ちの面では簡単には解体できないですね。
空き家を解体するときの業者の選び方
気持ちの面が整理できれば、解体してしまった方が良い場合も。その方がメリットが大きいと判断したなら、解体業者に依頼をして解体してもらうことになります。
その場合の業者の選び方についてわかりやすくまとめました。中には悪徳業者もいますから慎重に選んでください。
会社は実在するか
最も基本的なことですが、会社が実在するかどうかはきちんと調べましょう。
示されている住所に本当に会社があるかどうか、グーグルマップなどを見て確認してみてください。
普通の解体業者はアパートやマンションの一室で開業しているなどということはないので、きちんと事務所を構えているのかどうかを見るのがポイントです。
許可を受けた業者を選ぶこと
解体業を行うには行政の許可が必要です。
- 解体工事業登録
- 都道府県で登録をする必要があります。もし複数の県をまたぐ場合にはそれぞれの場所で登録をします。東京都の登録しか受けていない業者が埼玉県の解体工事を行うことはできません。自治体のホームページには登録業者の名簿がありますから、本当に登録されているかどうか必ず確認した方が良いでしょう。
- 建設業許可
- 建設工事を請け負うための許可で、解体工事業、土木工事業、建築工事業のいずれかの許可を受けている必要があります。
この「解体工事業」は、これまでの「とび・土木工事業」が変更されたもので、平成28年6月1日から法律が改正されています。
建設業の許可を受けている業者が、各都道府県で登録をすることにより、実際の解体工事を行えるようになるのです。
登録の有効期間は5年です。ところが期限が切れているにも関わらず、登録が有効であるかのように表示をしている業者もいますので、必ず登録者一覧表で確認をするようにしてください。
また、解体工事によって出た廃棄物を収集、運搬する許可を得ているかどうかも合わせて確認しましょう。
その許可がないと不法投棄となります。万が一、不法投棄をするような業者であるということを知っていて依頼した場合には、依頼主が罰せられることもあるのです。
そうならないように、きちんと許可を得ている真っ当な業者かどうかを必ず事前に確認してください。
必要な保険に入っているかを確認すること
解体工事で何かあった場合に、業者が保険に加入していないと施工業者だけでなく、施主にも責任が及ぶことがあります。
万が一、ご近所の方に怪我をさせてしまったり、お隣の家を傷つけてしまうなどの事故があったら大変ですよね。
そのような事故に備えて、業者が保険に加入しているかどうかを必ず確認してください。
こんなこと聞きづらいと思わずに、必ず確認しましょう。
見積もり金額に根拠を確認すること
解体工事を依頼するにあたって、工事費の見積もりをしてもらいます。
その際は必ず複数の業者から見積もりを取り、それぞれその金額の根拠を確認しましょう。
工事費は安ければいいというわけではないので、何にどのような費用がかかるのか、明確にしてくれればいいわけです。
工事の実績を確認してみる
これまでどのような解体工事をしてきたのか、ホームページなどで確認をしてください。
今時ホームページがない会社も少ないと思いますが、工事の様子を写真付きで解説している業者が安心ですね。
空き家の解体を依頼するときに注意してほしいこと
業者の選び方を踏まえて、実際に依頼するときに注意してほしいポイントについてもまとめました。
必ず複数の会社から見積もりを取る
見積もりを取るときには必ず複数の会社から、これが鉄則です。一社のみですとその価格が妥当なのかどうかもわかりません。
複数の金額を見比べて、なぜここは高いのか、安いのかと考えることが大切です。
また、その金額に消費税が含まれているかどうかも計算してください。税込みか税抜きかで、およそ1割も金額が違ってきますから、重要な部分です。
電話をかけてみよう
念の為、ホームページに記載されている電話番号に見積もり依頼の電話をかけてみてください。
中には自転車操業で、事務所を転々としながらやっと運営しているようなところもあります。それではちょっと不安ですよね。
忙しくて電話に出られないだけであれば、問い合わせの電話には必ず折り返し電話をしてくれるでしょう。
対応がきちんとしているかどうかの見極めにもなるので、一度実際にかけてみることをおすすめします。
必ず書面で契約すること
業者を絞ることができたら、必ず書面で契約をするようにしてください。
古くからの業者で職人気質の人は、契約書を発行しないで仕事を請け負っている、という人もいますが、何かあった時にそれでは困ります。
- 契約書
- 領収書
を書面で用意してもらうように伝えましょう。
基本料金をよく確認すること
見積もりで失敗してしまうケースとして、基本料金とオプション料金がよくわかっておらず、最終的に支払う金額が見積もり金額よりもはるかに多くなってしまった、ということがよく起こります。
そうならないように、基本料金でどこまでできるのか、何をするとオプションになるのか、しっかりと確認しましょう。
晴天の多い時期を狙うこと
解体工事の金額にも季節が関係しています。梅雨時や猛暑の時期など、時間も労力もかかる時期には料金が高くなることがあります。
また、梅雨時は工事がなかなか進まないということもありますので、なるべく晴天の続く時期、春や秋を選んで依頼した方が良いでしょう。
荷物はできるだけ捨てておくこと
しばらく使っていない空き家では、家の中のものがそのままになってしまっていることも多いものです。
しかしそのまま解体工事を依頼すると、不用品を処分するための費用が別に発生してしまいます。
解体業者が捨てると産業廃棄物になりますから、お金が余計にかかるんです。
マニフェストを請求すること
マニフェストとは、産業廃棄物を適切な場所に処理したかどうかを確認するもので、産業廃棄物がどこにどのくらい運ばれて、誰が処理したのかということが書かれている書類です。
適切に処理されたかどうかを確認するためにも、マニフェストの「E票」というものを請求してください。
空き家を解体するのにかかる費用はどのくらい?
見積もりを依頼するにしても、空き家の解体にはだいたいどのくらいの費用がかかるのか、その目安を知っておかないと、価格が適切なのかどうかがわかりませんよね。
解体工事の内訳としては、このような費用があります。
- 仮設工事
- 内装、屋根の解体費
- 基礎撤去の費用
- 産業廃棄物の処理費
- 重機の運搬費と撤去費
- 樹木の伐採費
- 人件費、写真代
などです。
建物の構造によって違う
解体費用は、建物の構造によってかなり幅があります。坪単価で見積もられることが多いのですが、
- 木造:4万円前後
- 鉄筋コンクリート:6〜7万円前後
これだけ金額が違います。鉄筋造りだと、木造の2倍くらいかかる覚悟をしておいたほうがいいかもしれません。
ただ、都市部か郊外かによっても違ってくるので、おおよその目安にしてください。
これ以外にも、浄化槽が設置されている場合にはその撤去費用が50万円以上かかるでしょう。
重機が入りづらいと高くなる
道路が広いとか、隣家との間がそれなりにあって、工事をしやすい場所ならいいのですが、重機が入りにくい敷地の場合には解体費用がどうしてもかさんでしまいます。
というのも、重機が入れれば簡単に解体ができるものを、人の手で解体しなければならない部分が出てくるため、どうしても人件費がかさむのです。これは仕方がありません。
- 家の前の道が狭くて道路の使用許可が取れない
- 道路と家の高低差がある
- 家に駐車スペースがない
- 警備員を配置する必要がある
などの条件が重なってしまうと費用が高くなります。
地震や火災で倒壊している場合も高くなる
地震や火災によって空き家が倒壊してしまうと、普通に建っている空き家を解体する場合と違い片付けるための費用が高くなります。
普通に解体して運び出せるものが、一つ一つ慎重に運び出さなくてはいけないので、手間がかかるという理由もあります。
空き家は壊れないうちに解体しておいたほうが良いということですね。
アスベスト除去には多額の費用がかかる
今の建物には使われていませんが、昔はアスベストという建材がよく使われていました。
石綿とも呼ばれていますが、このアスベストはとても軽いために空気中に広がる性質があります。
アスベストを吸い込むと肺がんなどの健康被害が出る恐れがありますので、そのような住宅は粉塵が散らないように建物を覆うなどして適切な処理が求められます。
アスベスト除去が含まれるとと普通に解体するよりも手間がかかるうえに危険度も高いため、費用が高くなります。
時期によっても費用にばらつきがある
先ほど、解体工事は天候の良い時期に行うのが良いというお話をしました。
例えば関東では冬の寒い時期の方が雨が降りづらく空気も乾燥しているので、12〜3月くらいは解体業者が忙しい時期になります。
この時期ですと、普段よりも高くなる可能性があります。
トータルでかかる費用はこのくらい
では結局、解体工事にはどのくらいの費用がかかるのか、30坪の家だとおよそこのくらいです。
- 木造住宅:120〜170万円(坪単価4万円+その他工事費50万円)
- 鉄筋コンクリート:180〜260万円(坪単価6〜7万円+その他工事費50万円)
もちろん家の大きさにもよって違ってきますし、エリアによっても相場が違います。
大体の目安ではありますが、200〜300万円くらいはかかると思っておいた方が良いですね。
自治体の助成金を利用しよう
自治体も空き家が放置されることは問題視していますので、解体できずに放置されるくらいなら、と助成金を出しているところもあります。
助成金の額は自治体によってかなり幅があるので、空き家のある自治体でどのような制度があるか一度調べてみると良いでしょう。
何から手をつければ良いか、空き家の解体に必要な手続き
空き家は勝手に解体して終わり、ではありません。税金との関係もありますし、解体すれば産業廃棄物の処理が必要になるため、市区町村に解体するための届出が必要なのです。
市区町村への届け出
80㎡(およそ25坪)を超える延べ床面積の空き家を解体する場合には、建設リサイクル法に基づいて市区町村への届出が必要になります。
届け出を出して自治体から許可されたら工事が行えます。届け出してから工事ができるまではおよそ1〜2週間です。
道路の使用許可
長時間トラックや重機が道路に止まることになりますので、管轄の警察署に道路の使用許可の申請が必要です。こちらも忘れずに申請してください。
とはいえ、通常申請は業者が行います。
ご近所への説明
市区町村と警察へ届け出をすれば工事自体は行えるようになりますが、その前にご近所へのご挨拶を忘れないようにしてください。
事前に周知をしておかないと何かあった時に大きなトラブルになってしまいます。
ご近所にはきちんと説明をするとともに、しばらく迷惑をかけることについて一言挨拶をしておくことをおすすめします。
ライフラインの届け出
解体工事を行う際には、電気やガスを止めて行う必要がありますので、事前に届け出をしておきます。
水道については工事中に業者が使うこともあるので、工事が終わってから止める手続きをすれば大丈夫です。
あまり直前になると難しくなる場合もあるので、遅くても1週間前までには連絡をしておいてください。
家電のリサイクル
解体が始まってから家の中のものを処分するのは難しくなりますから、工事が始まる前に家電は全て処分してください。
- 冷蔵庫
- テレビ
- 洗濯機
などは家電リサイクル法の対象ですから、粗大ゴミとして捨てることはできません。
家電メーカーなどに引き取ってもらわなくてはいけないので、早めに連絡をして持っていってもらいましょう。もちろん有料、お金がかかります。
浄化槽の処分
家から流された下水は下水道にそのまま入る場合と、一旦浄化槽に入ってから流される場合があります。
古い家ですとこの浄化槽がまだ設置されている場合があり、家の解体とは別に浄化槽の解体工事が必要になります。
更地になったことの登記
無事に空き家を解体し、更地になったら、その旨の届けが必要です。建物がなくなったことによる「建物滅失登記」を行いますが、通常は解体業者が行ってくれます。
または、司法書士などの専門家にお願いすることもできますが、3万円程度の手数料がかかるでしょう。
この登記は通常工事が終わってから1ヶ月以内に行うこととされています。
空き家の解体は信頼できる業者探しがポイント!
不動産屋などと違って、空き家を解体する機会というのはそれほどないためか、解体業者についての口コミなども少ないと思います。
だからこそ、信頼できる業者を選ぶことがスムーズに解体作業を進めるためのポイントになります。
良い業者であれば面倒な申請手続きなども代わりに行ってくれますから、安心して任せられるでしょう。よく話を聞いて、ここなら大丈夫!と思えるところを見つけてください。