土地売却 2019/11/15
土地を売る時の注意点は?手順を抑えてトラブル回避対策を!
土地を売る機会など普段あまりないものですから、どうやって売ればいいのかその手順すら知らない、わからないという人がほとんどだと思います。
かといって、全てを不動産会社に任せっきりにしてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれないとも限りません。
そこで、土地を売却するにあたって何に注意すればいいのか、手順とともに詳しく解説します。不動産取引は難しい、面倒だというイメージがあると思いますが、正しい手順さえ知っておけば大丈夫です。
あらかじめ注意するポイントを押さえ、土地の売却を成功させましょう!
不動産屋を探す前に!土地を売る時の全体像を把握しよう
いざ土地を売るとなると、何から手をつけたらいいのかよくわかりません。まずは全体の流れをざっと説明します。
- 土地を売る目的、理由を整理する
- 必要な書類を手に入れる
- 土地の現状を把握する
- 土地の査定をお願いし、不動産会社を選ぶ
- 売却活動を開始する
- 買主と契約する
土地の売却作業はこのような大まかにこのような流れで進んでいきます。
次の章からは、不動産会社を選ぶ前にやっておきたいことと、査定をお願いしてから実際に売却活動を始めるという部分に分けて説明をしていきます。
土地を売りたい!と思ったらまずやるべきこと
売りたい土地があると思った時に、いきなり不動産会社を探すのではありません。
その前に、整理しておかなければいけないことが色々あるのです。
土地を売る理由を整理する
その土地をなぜ売ろうと思ったのか?理由を整理しておくことがまず第一です。
なぜ理由が必要なのか、それは買主が「その土地が売られる理由」を知りたいからです。
土地というのは大きな買い物ですから、もし自分が土地を買うとしたら、どういった土地なんだろうということを知りたいと思いませんか?
大きな買い物だからこそ、買主との信頼関係を築いて、気持ちよく契約したいですよね。そのためにも、その土地を売却しようと思った理由を正直に伝えることが大切なのです。
- 親から相続した土地である
- 別の場所に新居を建てるため
- 借金返済のため
- 生活費に充てるため
- 事業資金に充てるため
など、様々な理由があると思いますが、嘘はつかないことです。
ただし、事細かに伝えなくてもいい部分はあります。例えば離婚したから引っ越す、というような場合がありますよね。
そのときは「新しい家に住み替えるため」と言えば良いのであって、プライベートな離婚について説明する必要はありません。
嘘はつかない範囲で、その土地を売る理由を説明できれば十分です。
いざ売ろうとした時に反対する人が出てくるとトラブルになりますから、複数の関係者がいる場合にはなおさら理由の整理が必要なのです。
必要な書類を集める
今持っている土地の現状を把握するために、売却の際に必要となる書類を集めましょう。
- 印鑑証明書
- 住民票
- 登記権利書(または登記識別情報)
- 固定資産税納税通知書
- 固定資産税評価証明書
- 不動産登記簿(相続した場合)
このような書類が必要になります。
あわせて、実印がどこにあるかも確認しておいた方が良いでしょう。
土地の測量
土地を売る際に最も重要になってくるのは、面積がどのくらいあるかということです。ですから、お隣さんとの敷地の境目をはっきりさせておく必要があるのです。
もし曖昧な状態であれば、お隣さんと話し合って「境界確定」という手続きをとります。
面積がどのくらいあるかを図る必要もあるので、ここは土地家屋調査士という専門家に依頼して、「土地境界確定測量」という作業をしてもらいます。
長く使っている土地ですと、登記の内容とズレが生じていることがあります。
売却する土地の相場を調べる
土地の相場は自分でも調べることができます。
- 国土交通省の地価公示
- 不動産取引価格情報検索
- 全国地価マップ
などを利用して、このあたりの土地はいくらくらいで取引されているんだろう、ということを調べましょう。
調べるポイントは、
- 立地
- 面積
- 駅からのアクセス
など似ている土地を探してみることです。
土地が売れる時期を狙うこと
土地にも売れやすい時期というものがあります。準備を早めにしておくことはいいことですが、売る時期は考えないといけません。
一般的に、入学や転勤など引越しが多い時期には土地の需要が高まります。それは4月ですね。
ですから売る時期として1〜3月くらい、4月に引っ越す人が新しい土地を求めている時期に売り出すと、比較的買い手がつきやすいといわれています。
法律の確認
土地の上に建物が建っている場合、法律を確認する前に安易に取り壊したりしないことが大切です。
建物に関しては建築基準法という法律がありますが、何度も改正が行われているため、今建っているものがいつの時点の法律を適用したものかわからないのです。
ただしこの基準も今と昔では違うため、今の法律では違反だったとしても、建てた当時に適法であればなんら問題はありません。
しかし一旦建物を壊してしまった場合には現行法が適用されることになりますから、もう一度同じ建物を建てようと思ってもできない場合が出てくるのです。
リフォームすれば広い家に住めたのに、壊してしまったばかりに小さな家しか建てられないとなると土地の価値も変わってきてしまいます。
もし建物をなんとかしたい場合には、その建物が建てられた当時の基準を確認してから手を加えた方が良いでしょう。
土地を売るために必要な手順と流れ
売却活動を始める前にやっておくべきことが整理できたら、実際に不動産会社を探す行動に移ります。
売買契約を結ぶまでの流れについて説明します。
売却する土地の性質を調べる
土地の性質など一般の人はあまり気にしたことがないと思いますが、売却する上では知っておかなくてはいけないことです。
というのは、その土地が住居専用の地域にあるのか、商業地域の土地なのか、それによって価格も変わってくるからです。
住居専用の土地であれば住居を建てる人しか購入しないですよね。
査定額に関わってくる部分なので、実際には宅建の資格を持った専門家にお願いすることになります。
不動産会社の選定
一口に不動産会社といっても、それぞれ得意分野がありますから、その得意分野を無視して見積もり依頼を出しても適正な価格を出してくれない可能性があります。
- 一軒家
- マンション
- 土地(更地)
など、どのような物件を得意としているのか、そこをまず見極めましょう。
土地に関しても、広い土地が得意、個人の取引が得意など、その中でも得意分野が分かれます。
自分が売りたい土地を任せても大丈夫、という不動産会社が数社見つかるまで頑張って探してください。
土地の査定をお願いする
最も大切な土地の査定は、必ず複数の会社に依頼しましょう。1社だけに頼って話を進めると、悪質な会社に引っかかって損をする可能性もあるからです。
査定の額は口頭ではなく、必ず書面でもらうようにします。その方が比較しやすく、会社を選びやすくなりますよ。
出してもらった査定額を慎重に検討し、自分で調べた相場と比べてみてください。その上でわからないこと、不安に思うことはどんどん質問しましょう。
大きな売買契約をするわけですから、誠意を持って対応してくれる会社でないと頼むことができません。
不動産会社と契約を結ぶ
得意分野が売りたい土地と一致し、査定額にも納得したところで、いよいよ契約を結ぶことになります。
不動産会社と結ぶ契約は、
- 専属専任外界契約(1社のみと契約)
- 専任媒介契約(1社のみと契約するが自分で買主を探しても良い)
- 一般媒介契約(数社と契約が可能)
の3種類があります。
一般的には、専任媒介契約か一般媒介契約にすることが多いです。
一見、複数の会社で同時に同じ広告が出ることに一般媒介契約がお得に見えるのですが、他でも売っていると思うと営業に真剣になってくれないという可能性もあるという事を知っておいてください。
それならば、信頼できる一社を見つけ、そこにお願いしつつも、自分でも買い手を探せる専任媒介契約の方が良いかもしれません。
売却活動の開始
不動産会社と契約をしたら、いよいよ本格的な売却活動の開始です。
まずは売り出し価格の設定です。
少しでも高く売るためには、見に来た人に「この土地が欲しい!」と思ってもらうことが大事です。
ゴミがたくさんあって、雑草が生え放題の土地に魅力を感じるでしょうか。それよりも、すぐに使えそうなきれいな土地、見栄えのいい土地の方がいいと思いますよね。
価格の交渉
この土地を買いたいという人が現れたら、そこから価格の交渉が始まります。
売主は少しでも高く売りたいし、買主は少しでも安く、値引きしてもらいたいわけです。
損をしないためには、ここだけは絶対に譲れないという金額を決めておくことです。
価格と同時に、
- 土地の引き渡し日
- 代金の支払日
なども交渉できるように、何を話し合うべきか事前に整理しておいてください。
土地の売買契約
双方が納得したら、いよいよ契約に入ります。重要事項説明などは不動産会社が行いますし、契約書の作成などは複雑なので、不動産会社に頼りながら進めていきます。
売主としては予定通り物件を引き渡す準備をしておけば良いでしょう。
代金の授受と土地の引き渡し
手付金が支払われ、売買契約書の締結が済んだら、最後は登記の移転と残りの代金の授受という流れになります。
登記の移転は残りの代金の支払いと同時に行われることが多いです。
双方が法務局に出向いて所有権の移転手続きを行います。
登記の移転をしたら、残りの代金が支払われます。これで一連の流れが終わります。
確定申告を忘れずに!
土地は売ったら終わりではありません。売主にはもう少し作業があるので、忘れないでください。
それは、確定申告です。売却益が出れば収入がありましたと申告をしなければいけませんので、翌年の確定申告をお忘れなく!
いざ売るとなった場合に注意してほしいこと
大まかな土地を売る流れについて説明をしてきましたが、その中で注意して欲しいポイントについてまとめました。
仲介にするか、買取にするか
土地を売るには、
- 仲介
- 買取
という2つの方法があります。
仲介は、不動産会社に買い手を見つけてもらう方法です。買取は、不動産会社に土地を買い取ってもらう方法です。
仲介は仲介手数料が発生しますが、土地が高く売れる可能性があります。ただし、買い手がいつまでも見つからないというリスクもあります。
どちらがいいかは一概にはいえませんが、売却期間に特に制限がないのであれば仲介にした方が良いでしょう。
一方、売る期限が決まっているならば、価格はさておき、すぐにでも買い取ってもらった方が得かもしれません。
もしこのやり方をしてもらえるならば、ある程度の期間を見込んで売りに出すことができますね。
土地の適正価格は必ず調べること
土地の適正価格を知っておくことはとても大切です。
それを調べずに全て不動産会社に任せてしまうと、売り出し価格も決められないばかりか、不当に安い値段で売られてしまうかもしれません。
必ず事前に適正価格を調べましょう。
査定額と売却額はイコールではないこと
査定額がこのくらい、と出たとしても、その金額で売れることはまずないということも知っておきましょう。
ですから、必ずしもその価格で売れるとは限らないのです。
リフォームの必要がある場合も
土地の場合はきれいにしておけば問題ないですが、上に建物がある場合、リフォームをすすめられることもあります。
手を加えた方が高くなるといわれた場合、どのくらいの金額がかかるのかによっても違ってきますが、できれば買主に任せた方が良いことが多いです。
というのも、多額の費用をかけてリフォームをしたところで売れるとは限らないですし、買主が自分で手を加えて作り変えたい場合もあります。
瑕疵担保責任の明記
古い物件をつけたまま売るときには、「瑕疵担保責任」の免除を契約書に盛り込んでおくことをおすすめします。
瑕疵担保責任とは、売ったものに欠陥があった場合、たとえ売主がそれを知らなかったとしても責任を負う必要があるということです。
そうならないように、瑕疵担保責任を免除してもらうか、もしくは1年よりも短い期間に設定してもらうように契約をした方が良いでしょう。
ローン特約を設けておくこと
通常、自己資金だけで購入できる人は少ないですね。ローンを組んで購入することが多いと思います。
ローンを組むときには売買契約書が必要となりますが、いざローンの審査をしてみたら通らなかった、という事態が発生しないとも限りません。
この特約は、売主のためというよりもどちらかというと買主のためです。
もしローンの審査に通らなかったとき、特約がないと自己資金だけで支払わなければならないとなってしまうため、契約することが難しくなるでしょう。
ですからローン特約は買主のために、万が一のことがあっても大丈夫ですよ、という特約をつけておくことによって契約を後押しするために必要なのです。
相続登記は済んでいますか?
売る土地が相続によって得た土地である場合、相続登記をして名義を変更していなければ売却ができません。
相続登記には
- 相続登記申請書
- 登記原因証明情報
- 住所証明情報
- 登記にかかる登記免許税
が必要になりますから、司法書士に依頼するなどして先に済ませておいてください。
相続者で意思統一ができているか
相続した土地を売るときに一番大切なことは、関係者による意思統一です。
「土地を売る目的を整理する」というところでも説明しましたが、売却の方法や価格で揉めることが多いために、売却活動に入る前に関係者でよく話し合ってください。
ローンは完済しているか
もし売ろうとしている土地のローンが残っている場合、抵当権が設定されていますから、そのままだとなかなか売れません。
ですから、できればローンを完済して抵当権を抹消しておくようにしたいものです。
とはいえ、ローンを完済してから売りに出せる人の方が少ないかもしれません。通常は売却益を残りのローンに当てようと思うものですよね。
手間がかかることだからこそ、しっかり準備をして進めよう
土地の売却なんて、一生のうちに何度も経験することではないと思います。わからないことだらけで戸惑ってしまうことも多いと思うのですが、だからこそじっくり調べてきちんと計画を進めていくことが大切です。
後悔しないように、自分で調べられることは徹底して調べ、わからないことは納得がいくまで不動産会社に聞いてください。