土地売却 2019/11/15
地盤調査の費用の相場は?必要性の判断とメリット、デメリット

家を建てる前に必要になる地盤調査ですが、土地を売ろうと思っている時にこの地盤調査が必要かどうか、迷うところです。
地盤調査を行わなくても土地は売買できますし、特に問題になるようなことはありません。費用もかかることですし、できればそのまま売ってしまいたいところです。
土地を売却するにあたって地盤調査をした方がいいのか、メリットやデメリットについてまとめましたので、ご自分の土地に地盤調査が必要かどうかの判断材料にしてください。
また、あわせてどのくらいの費用がかかるのかについても解説します。
地盤調査とは?売る前に行う必要性の判断
土地を買う人は、通常その土地の上に家を建てるなど、何かしらの建物を建てることを前提としているでしょう。
もしその土地に何か不備があったら、家が建てられなくなってしまいます。
では地盤調査は、土地を買った人が行えば良いのではないでしょうか。なぜ売却する前に、売主が行う必要があるのか、それにはこのような理由があります。
売る側に責任がある
昔は土地を購入した人が、建物を建てる前に調査を行うのが一般的でした。
しかし平成22年にあった裁判によってその流れが変わります。
土地を売却するにあたり、土地の改良工事が必要ですよということを伝えていたものの、伝え方が不十分だったために、売主は買主から土地の改良費用を請求されました。
この裁判以降、地盤調査は売主が事前にするのが当たり前、というようになってきています。
確かに購入する方としては、
- どのような地盤なのかがわからない
- 何かが埋まっているかもしれない
- 買ってみたのもの建物が建てられない土地かもしれない
そのような土地は安心して買えませんよね。
買い手の権利を守るためにも、地盤調査は売主側の責任という風潮になっているのです。
瑕疵担保責任を問われる可能性
上記の裁判の例でもわかるように、買い手に対して十分な説明がないままに、トラブルの起こり得る土地を売った場合に、瑕疵担保責任を問われて損害賠償を支払う羽目になる可能性があります。
そうならないように、土地を売る前に地盤調査をしておいた方が安心なのです。
地盤が弱い土地
埋立地など、川や沼だった場所は土地そのものが柔らかく、弱い傾向にあります。埋め立てているかどうかは登記簿謄本などで確認ができます。
また、埋め立てをしていなくても近くに池や川がある土地などは軟らかい場合が多いので、地盤調査をしたほうが良いでしょう。
低い土地
周囲と比べて一段低くなっているような土地も注意が必要です。
埋め立てをしていなくても、土地が低いために雨水などが流れ込みやすく、地盤が軟らかくなっているからです。
隣家のひび割れ
お隣のお宅の基礎部分を少し見せてもらってください。もし0.5mm以上のひび割れがある場合、地盤が弱くなっている可能性があります。
建物のひび割れは施工不良などの可能性もなきにしもあらずですが、地盤が緩いことが原因であることもあるので、年んため調査をしたほうが安心です。
土地の売却前に行う地盤調査のメリット、デメリット
一般的には売主が地盤調査をするという流れになってきていますが、そのメリットとデメリットについても押さえておきましょう。
土地の信頼度が高まる
まず、一番のメリットとしては「この土地は調査していますから大丈夫ですよ」とアピールできますので、買い手に信頼してもらいやすくなるということでしょう。
どんな土地だかわからないよりも、調査が済んでいるならば安心して購入できると思ってもらえます。
買ってからの調査費用がかからないという点も買い手にとっては大きなメリットです。
売却後のトラブルを防ぐ
地盤調査をしなくても土地の売買は可能です。義務もありません。
しかし売った以上は売主としての責任がありますし、上記で説明したように後々裁判を起こされる可能性もあります。
瑕疵担保責任には、
- 地盤が弱い
- 地中に何か埋まっている
- 土壌が汚染されている
- 地盤沈下
などが含まれます。
これらは事前に地盤調査をしておけばわかることですので、トラブルを防ぐためにも売る前に調査をしたほうが良いでしょう。
調査しないで売ってしまった場合、調査費用以上の賠償金を払う羽目になるかもしれないからです。
免責の交渉ができる
地盤調査を事前にしておくと、瑕疵担保責任について免責にして欲しいと交渉することも可能です!
ただし、その土地のすべてについて免責されるわけではないですが、一つでも免責されたら少し安心ですよね。
土地の価値が下がる場合も
デメリットとしては、思ったような結果でなかった時にその土地の価格に影響が出る可能性があるということでしょう。
売る前に買い手に正直に土地の状態を伝えなければいけませんし、土地の改良費用を割り引いて売るなどする必要も出てくるでしょう。
しかも、土地の改良というのはその土地にどのような建物を建てるかによって方法が変わってくるため、売る前の状態で工事を行うことができないのです。
買主が建物プランを決めてからでないと改良工事ができません。
もしくは、自分で家を建ててしまい、建物付きで売るという方法もありますが、その場合は土地の改良工事の他に建物代ももちろんかかります。
割り引いて土地を売るか、費用かけてでも改良してから売るか、いずれにしても当初の希望価格のままでは売れなくなるということです。
一般的な地盤調査の方法
では地盤調査とはどのように行うのか、簡単に説明します。
主に3つの方法があります。
- スウェーデン式サウンディング試験
- ボーリング試験
- 表面探査法
このうち、一般的に住宅用の土地に行われるのは、スウェーデン式サウンディング試験です。
スウェーデン式サウンディング試験
比較的コストがかからない方法なので、最も一般的に行われています。
地下10mほどの深さに、ロッド(鉄の棒)を差し込んで地盤の状態を調査します。
ロッドの先にはスクリューポイントがついているのですが、回転しながら沈んでいくことによって地盤の硬さや強さなどを調査します。
ボーリング試験
ボーリング試験とは地下30m〜100mくらいの深さまで調査ができる方法で、マンションなど高層の建物を建てる時に使われる方法です。
ドリルなどで穴を開け、サンプラーという棒を穴に落下させることによって地盤の硬さを調査します。
表面波探査法
その土地を掘り起こせない場合には、表面波探査法が使われます。
遺跡が発見された場合などは安易に土を掘れませんので、この方法を使うのです。
ただし、あまり深いところまでは波が伝わらないので、表面的な調査になってしまいます。
平板載荷試験
その土地に立てる建物がわかっている場合、その建物を建てる場合にどのくらいの強度が必要かを計算して、同じ重さをかけてその重さに耐え得るかを調査する方法です。
例えば、同じ住宅でも木造の平屋建てと鉄筋コンクリートの2階建では必要な土地の強度が違ってきます。
そのため、基礎工事を行うのと同じだけ土を掘り、そこに基礎の見立てた平板(鋼板)を置いて重量をかけるのです。
そしてその重さに耐えられるのか、地盤の強さ、変形しないかどうかなどを調べます。
つまり、上に何を建てるかがわかっている場合に使える方法ということですね。
地盤調査にかかる期間
地盤調査にかかる期間は調査の方法によって違ってきます。
スウェーデン式サウンディング試験は半日〜1日程度で終わりますが、ボーリング試験は2週間以上かかります。
調査だけでも時間がかかりますし、調査の内容が多岐にわたるので、報告書をまとめるのに時間がかかるためです。
平板載荷試験は半日〜1日もあれば終わります。
どのくらいかかる?地盤調査の費用
地盤調査の費用ですが、これも大掛かりなほど費用がかかります。
費用は売主負担が多い
売主が自分から調査を行う場合はもちろん売主が負担をしますが、地盤調査を行なっていなかった場合でもし買い手に地盤調査をして欲しいと言われた場合はどちらが普段をすべきでしょううか。
折半でももちろんいいのですが、今は売主が負担をするケースが増えています。これはやはり前述した裁判の結果が影響していると考えられています。
早く売ることを考えると、あまり買い手に負担を求めず、先に地盤調査を自己負担でやってしまう方が賢明ではないでしょうか。
それぞれの費用の目安
それぞれの調査方法の費用の目安です。
方式 | 費用 |
---|---|
スウェーデン式サウンディング試験 | 5〜10万円 |
ボーリング試験 | 15〜25万円 |
表面波探査法 | 10万円前後 |
平板載荷試験 | 6〜15万円程度 |
ただしこの額はあくまでも目安です。
土地の広さ、形状によって変わってきますので、正確には土地を見てもらって見積もりを出してもらうようにしましょう。
土地の売却をする前に地盤調査をしておこう!
土地の売却前に地盤調査が必要かどうか、費用をかけてもここは迷わずやっておくべきでしょう。
調査の結果、思ったような値段で売れない土地だと分かったとしても、瑕疵があるまま売る危険性を考えたら大した費用ではないですし、お互いのために調査をしておくべきです。
費用や手間を惜しんだばかりに後から高額な賠償金を請求されたりしないように、売却前には地盤調査をしておきましょう。




